「楽(たの)習」の動力には「成長の喜び」があった。これをコントロールして、お勉強を楽しいものに。
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前回、「楽習」を「楽(たの)習」と「楽(らく)習」に読み分け、その意義について分析しましたが、本項ではこれを受けて、「楽(たの)習」について考えてみたいと思います。

繰り返しになりますが、「楽(たの)習」とは学習そのものを楽しむことを指します。究極の学習境涯であり、習得は時間の問題でしかありません。

お勉強が嫌いな方には想像だにできない境涯ですが、語学に限らず、世の中には特定のものに多大なる興味を持つ人は少なくありません。例えば、化石とか天体とかなんかいい例ですね。興味のない人には何が面白いのかさっぱりわかりませんが、好きな人はそれについて話し出したら止まらないぐらい没頭するものです。

語学でもこのようなケースはあると思います。中国語ならば、中国語そのものに強い興味を覚える人です。ただ、このようなものは個人的要因があまりにも強く、普遍性に欠けるため、学習法構築方法論として取り込むには明らかに無理があります。よって、このようなケースは排除して考えます。

成長の喜び

では、このような「マニアック」な例以外に、中国語学習そのものが楽しい、というケースは存在するのでしょうか。

私は存在すると考えています。少なくとも、以前の私はそうでした。勉強が苦にならないどころか、楽しく感じていましたから。

では、なぜ楽しいのか。私は、「成長の喜び」にその原因があるのではないか、と考えています。

卑近な例を出すとすれば、ロールプレイングゲームです。敵を倒していくことで経験値が上がり、さらに先のステージへ進むことができます。この手のゲームをやったことがある人ならわかると思いますが、その過程において不可欠なのが「経験値稼ぎ」です。これなしでは先のステージに進むだけの能力が得られないので、あちこちをうろうろしながら遭遇した敵を片っ端に倒していくという単調な作業を繰り返す必要があります。客観的に見たらつまらない作業ですが、やっている本人は楽しんでいるものです。

日々の中国語学習もこれと似たような性質を持ちます。先のステージに進むには、一見単調な音読やリスニング、単語の暗記などの作業を繰り返す必要があります。これなしでは中国語能力を高めることはできません。

では、なぜお勉強になると途端につまらなくなるのでしょうか。

原因はいくつもあるでしょうが、そのうち大きな影響を与えているものとして「客観的な数値」が考えられます。ゲームは敵を倒したらどれだけの経験値がもらえて、次のレベルまであとどれだけ必要になるのか一目瞭然です。

これが中国語のお勉強になると数字なんてものはありません。成長が目に見えて実感できないのです。おまけにゲームの経験値は加算しかありませんが、語学となるとマイナスも存在します。繰り返して勉強しなければ忘れちゃうのです。学習者は五里霧中、先行き不透明な状態に置かれている訳です。

検定試験を受験することである程度の数値を計ることはできますが、これはリアルタイムではありませんし、その数値も絶対的なものではありません。

また、語学の習得は所要時間が圧倒的に長いことも大きな要因です。私が子供のころのロールプレイングゲームは、その気になれば一週間程度でクリアできてしまうものでしたが(いましたね、そんな友人が)、語学はそうはいきません。最低限のレベルまででも数ヶ月、十分なレベルに到達するには数年かかります。このような長期間にわたって先行き不透明な状態が続くのは、一般的な感覚を以って考えれば耐え難いものでしょう。

成長への確信

しかしながら、それでも、現実には「楽しい」と感じる人がいる訳です。では、彼らが「楽しい」と感じるのはなぜなのでしょうか。

私は自己の「成長への確信」にその原因があるのでは、と思います。客観的な数値はなくとも、「これをやっていれば、必ず中国語力が上がる、中国語が身につく」という強い確信があるのです。

だから、楽しいのです。このテキストをやり終える頃にはもっと上達している、という確信しているからです。上達した自分の姿をイメージし、それに浸ります。そして、それを目指して日々の学習に打ち込むのです。

私のケースでは、この要因が大きかったように思います。理由はわかりませんが、妙に確信だけはあったので。絶対に身につくと。

成功経験

では、この確信はどのように獲得すれば良いのでしょうか。私は、やはり「経験」が最も効果的だと考えています。

これは語学に限らないのですが、一度成功経験を持つと、次もまた成功できる、という強い確信が生まれます。小さな成長経験でもかまいません。それまで聞き取れなかったものが聞き取れるようになったときの喜びなどがその例です。この経験によってそれまでの学習の成果を確認することができ、それが間違っていなかったことを確信させてくれます。

共通性があれば、別の分野による成功経験でも効果はあります。私の英語なんてその一例です。中国語を身につけた経験があったので、英語の学習をはじめるときは自自信に満ち溢れていました。「絶対に身につく」ってね。

中国語と英語の場合は同じ語学ですからわかりやすいと思いますが、およそ習い事ならば、どれもある程度の共通性があると思います。究極的な話、語学も習い事なので、習い事を極めた経験がある場合は、語学も同じように考えれば、その楽しみがわかるのでは、と思います。

この他には運動とも共通点があるので、運動好きな人は、語学を運動として見てもよいのでは、と思います。特に会話はスポーツ性が高く、口を使ったスポーツと考えて訓練すると、短期間で上達させることができます。

成功者のイメージ

成功経験による確信と並んで重要なのが、成功者としてのイメージです。

中国語ならば、中国語を身につけた後の自分の姿をイメージすることで、学習の動機付けをするのです。

通訳として、或いはビジネスマンとして、中国語を駆使している自分......。日々少しずつそれに近づいているという確信があれば、いやが上にも学習へと駆り立てられるものです。

もちろん、いきなりそこまで高い目標を掲げる必要もありません。もっと手短なところ、例えば日常会話ができるようになって中国語で会話している姿、中国語でショッピングしている姿、中国語で小説を読んでいる姿......、小目標的な位置にある姿をイメージすることも効果的です。

いずれにせよ、今やっていることの報酬として、どのようなものを手に入れることができるのか、という点をはっきりさせることが大切です。

小さな成功体験を重ねることで確信は深まっていき、成功者のイメージはより現実的なものになっていきます。だから「楽しい」のです。

ちなみにですが、以前の私はこのパターンにはまっていたために「楽しく」感じていたのですが、今は中国語そのものに対して面白みを感じるようになっています。いずれにせよ、楽しいですよ。

Time:
  • 2008年7月28日
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