キャリア形成としての中国留学

前項までは主に「中国語習得」という点から中国留学の成否について考えてきました。しかしながら、前項「中国留学の価値」でも言及したように、21世紀の中国留学は中国語習得のための中国留学というより、習得後の中国語キャリアにおいてその中国語能力を遺憾なく発揮する礎を作るための中国留学という要素が強くなります。

そこで、本項からは21世紀的中国留学の成否の基準となるであろう「キャリア形成」という観点から中国語と中国留学について考えていきたいと思います。

中国語を学習する目的

中国語を学習する目的は人それぞれですが、大きく分けるなら「仕事」「生活」「趣味」の三つに分類できるでしょう。

「仕事」は中国語を仕事の中で使用することを指します。翻訳や通訳、中国語講師などそれそのものを飯の種とする者もいれば、程度の差はピンからキリまでありますが、仕事の中で中国語に触れる機会のある者もいます。

「生活」の主体は中国に赴任する夫に拉致されてきた(笑)セレブな奥様方でしょうか。自らの意思によるものかどうかはともかくとして、生活の中で中国語を使用する必要に迫られているグループです。

「趣味」のグループは説明には及びませんね。一種の知的な娯楽として中国語を嗜む人たちです。

この中で中国留学の主体となるのが「仕事」グループです。高額な留学費用と貴重な時間をつぎ込んでまで中国に留学するのですから、その背後にはそれ相応の経済的目的が存在しています。

この「仕事」グループを細分すると、

  • 1.中国赴任予定者及び国内中国関連部門担当予定者等の実務労働者グループ
  • 2.グループ「1」の職を希望するリクルート(就職転職)目的グループ
  • 3.通訳翻訳中国語講師等の中国語専門職志望グループ

の三つに分類できます。

このうちグループ1はキャリア形成のための中国留学という観点から言えば既に確定しているグループですからここでは取り上げません。グループ2と3に絞って話をすすめていきたいと思います。