華の通訳者・翻訳家のお仕事は実はイバラの道。「中国語と心中できる」という猛者以外お断りかも。
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前々項「キャリア形成としての中国留学」で中国留学の主体となる「仕事」グループを次の3つに細分化し、

  • 1.中国赴任予定者及び国内中国関連部門担当予定者等の実務労働者グループ
  • 2.グループ「1」の職を希望するリクルート(就職転職)目的グループ
  • 3.通訳翻訳中国語講師等の中国語専門職志望グループ

うちグループ2を軸に中国/中国語キャリアの現状と未来について考えてみました。

本項はグループ3について考えてみたいと思います。

高度な専門性

グループ3のような専門職は中国語に対する要求が非常に高い分やりがいがあり、中国語好きにはたまらない職業かもしれません。

しかし、一見華のある職業ですが、その厳しい現実について往々にして無視されがちです。

そもそも、一つの言語をもう一つの言語に変換するというのは非常に大変な作業なのですが、地理的に外国語と触れ合う機会が少なく、外国語ができない人が多い日本人は、どうもこの点を理解するのが難しいようです。

通訳を例に考えてみましょう。そもそも通訳に必要になるのは語学力だけではありません。言語の背景にある文化やマナー、ユーモアのセンス、古典に関する知識等、広範囲且つ深い知識が必要とされるため、特にヨーロッパの通訳者の多くはそれぞれの専門分野で修士号や博士号を取得しています。それぐらい高度な専門性を要求されるのです。

もちろん、それに見合うだけの収入と、尊敬を集める職業となっています。

中国語の通訳者を目指しているのなら、中国語が一定の適当なレベルに達したら一度通訳を試してみるといいでしょう。もちろんボランティアですよ。タダでその厳しさを体験できるのですから安いものです。

不理解と過当競争の市場

一方で我が国日本。外国語が苦手な日本人ですが、一般に外国語ができない人ほど「通訳する」イコール「話す」、「翻訳する」イコール「作文する」という発想になるようで、一時間連続で同時通訳なんかしたら疲労で頭の中が真っ白になってしまうなんて夢にも思っていません。

もちろん、使用者側の多くもこの現実に理解していません。日本で通訳が軽くみられる一因もここにあるのでしょう。通訳の重要性とその難度に対する認知は普遍的に低く、満足な資料を提供しなかったり、限界を超える長時間の通訳を課してくることも少なくないようです。

その一方で華のある職業だけあって希望者が多く、市場はダンピング合戦の様相を呈しています。プロスポーツのように数字化することができない世界なので、たとえ一流であっても差別化が難しいのです。

景気の波をモロに食らう専門職

また、専門職キャリアは景気の変動に影響されやすいという弱点もあります。グループ2のような中国語キャリア組は需要が減って価値が目減りすることはありますが、サラリーマンである以上即失業ということはありません。

一方でフリーで活動している通訳・翻訳者は景気の波をモロに受けます。仕事がなければ収入もない訳です。ビジネス界の共通語となっている英語は一国の経済状況に左右されることはありませんが、中国語は基本的に中国関連の需要しかありません。中国経済と運命を共にするという宿命から逃げ出すことができないのです。

一応グループ2と3の中間に位置するものとして社内通訳・翻訳という道もありますが、この道はそのうち行き詰まります。企業内では一般に通訳・翻訳は下っ端の役目なので、いつまでもそんなことばかりしている訳にはいきませんから。

どんな分野であれ専門職というのは厳しいものだと思いますが、中国語専門職の分野はハイリスク・重労働・低報酬という本当に厳しい世界です。「中国語となら心中できる」と言えるぐらいの意気込みがないと難しいと思います。

中国語講師は?

通訳翻訳の話ばかりに流れてしまいましたが、中国語講師についても基本的な構造は同じです。

労働負荷は通訳・翻訳者に比べ軽くなりますが、その分報酬も低くなります。主婦で家計の足しに......というレベルだったら十分かもしれませんが、これで食っていこう、と考えている方にとってはちょっと寂しい数字になると思います。

最も割りのいい職は大学の常任講師ですが、これはポストが少なく、チャンスはそうそうあるものではありません。少子化のため大学経営も圧迫されてきていますから、如何に中国経済が好調だとはいえ、常任講師のポストが急増するなんてことはまずないと思います。

まぁ講師は中国語を使う職業というよりも、中国語を教える職業ですから、中国語そのものに傾倒している人はあまり魅力を感じないかもしれませんね。

Time:
  • 2007年3月22日
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