語学と実用知識の一石二鳥 ~ 中国語で読む実用書

初級後半から中級レベルの段階になると、本格的にリーディング学習を始めることができます。

特に漢字を多用している日本人にとっては、中国語のリーディングはリスニングに比べ英語などのアルファベット系の言語に比べストレスが小さく、敷居が低くなります。

リーディング学習は中上級レベルの学習において根幹となる学習法の一つです。中国語のリーディングは日本人が語学においてその強みを発揮できる数少ない分野なのです。

一方で多くの中国語学習者はリーディング学習を軽んじる傾向があります。長くリスニング・スピーキング軽視だった英語教育の影響もあり、外国語と言うとリスニングにばかり注目が集まるという歴史的要因もありますが、特に中級レベルの学習者に多く見られるのが、リーディングはHSKのような試験でも簡単に高得点を出せてしまうので、いきおい苦手とするリスニングやスピーキングに重点を置いてしまうという現象です。

もちろん、苦手とする項目を重点的に学習するのは大切なことです。しかしながら、より高いレベルを求めるならリスニングだけでは限界があります。上級レベルでもっとも重要となる「語感」を鍛えるにはリーディング学習が最適なのですから。

リーディング=新聞・小説?

前置きが長くなりました。要はリーディングをしよう、ということなのですが、「リーディング」と言うとなぜか「新聞」「小説」となるのが語学の世界の摩訶不思議なところです。

新聞や小説が非常に有用なリーディング学習素材であることは確かですが、普段新聞や小説を読む習慣のない人が、語学だから、と突然外国語で新聞や小説を読むのはどこかおかしく感じられるのは私だけでしょうか。

もちろん語学をきっかけとして新聞や小説の有用性、楽しみを知った、というケースもあるでしょう。しかしながら、多くの場合はただ単に学習教材をいわゆるテキストから新聞や小説に置き換えただけの話なのではないでしょうか。

それではニュース記事や小説の一節をテキストの題材としている一般の学習テキストと本質的な変わりはありません。無駄とはいいませんが、それ本来のもつ価値は大幅に目減りしてしまいます。

本来新聞を読むのは社会の情報を得るためであり、小説を読むのは一種の知的な娯楽を求めてのことです。外国語、ここでは中国語での「新聞」「小説」閲読も、この本来の目的を継承してはじめてその価値を最大化することができます。

これを欠く新聞、小説のリーディングはあくまで「お勉強」でしかなく、これでは長期戦となるリーディング学習にとって最大の敵である「ストレス」の軽減効果を十分に発揮できなくなってしまいます。

実用書の効用

ここで私が言いたいのは、リーディング素材は何も新聞や小説に限る必要はない、ということです。

もちろん日常的に新聞や小説を読む週間のある方は中国語で新聞、小説を読むことをおすすめしますが、そのような習慣がない学習者は、無理して新聞や小説を読む必要は(当面の間は)ありません。

要はリーディングなのですから、活字媒体なら何でもかまいません。そこで私がおすすめするのが、いわゆる「実用書」です。

本屋でよく目にする「実用書」というコトバ。実はWEB版の三省堂大辞林には収録されていません。結構あいまいな概念みたいなんですが、その名の示すところから推測すれば、実用的な内容の本、といったところでしょう。

いわゆるノウハウ本、ハウ・ツー本、「すぐわかる!」とか「図解でカンタン」とか謳っている本なんかはその最たる例でしょうか。ある特定の分野について、素人向けにわかりやすく解説されている本です。

これを中国語で読めばよいのです。もちろん自分の興味のある分野を扱う本を選んで読んでください。このような本はわかりやすく伝えることを目的としていますから、文章構造も比較的単純で、外国人にとっても興味のない新聞記事や小説よりずっと読みやすいと思います。

入手方法

問題は定期刊行物と同じく入手までの敷居が高いところにあるでしょう。

理想的には本屋で手にとって選ぶのが最良なのですが、留学や仕事などで中国に滞在している方でもない限り、旅行の際本屋によって本を仕入れるぐらいの手しかありません。

比較的手軽に本を手に入れることができるのはオンラインショッピングです。中国外へ中国語の書籍を配送してくれるオンライン書店もありますので、そこで探すのも良いでしょう。

いまいち不安な場合は輸入代理店経由でもいいと思いますが、手数料分価格は上乗せされます。中国から直送のオンライン書店にせよ、輸入代理店経由にせよ、送料手数料はバカにならないので、可能なら思い切って旅行に行ってしまう方が良いのかもしれません。