キヤノン ワードタンク 歴代中国語モデルまとめ

目次

歴代機種中国語コンテンツ一覧表

歴代機種の収録中国語コンテンツを年度・型番別に一覧表にしている。赤色は音声付き。※英語・国語など中国語以外のコンテンツについては「中国語電子辞書比較表」を参照のこと。

年度 2003 2004 2006 2008 2009 2012
型番 V70 V80 V90 G90 V903 V823 V923 Z800 Z900
中日 講談社 中日辞典
小学館 中日辞典
愛知大学 中日大辞典
日中 講談社 日中辞典
小学館 日中辞典
中中 現代漢語詞典
新語 中日辞典 新語・情報篇
現代中国語新語辞典
中国語 新語ビジネス用語辞典
機能型 中国語文法用例辞典
中国語類義語活用辞典
専門 日中パソコン用語辞典
日中英・電子技術用語対訳集
中英英中 オックスフォード英中・中英辞典
会話 中国語会話とっさのひとこと辞典
中国語会話パーフェクトブック
旅の指さし会話帳 中国
一人歩きの中国語自遊自在
わがまま歩き 旅行会話 中国語 +英語
資格 キクタン中国語 中検3級レベル
キクタン中国語 中検4級レベル
キクタン中国語 中検準4級レベル
ゼロから始めて中国語検定準4級に合格する
方言 はじめての上海語
はじめての台湾語
はじめての広東語
その他 中国語のEメール表現
中国語基本単語1400
日本の文化としきたり事典(日中対訳版)
相原茂編集 挑戦!中国なぞなぞ200
人名発音ナビ

主要コンテンツ略説

メインの中日日中辞書として採用されているのは小学館の中日日中辞典と愛知大学編纂の『中日大辞典 増訂第二版』である。上位機種はそれに加え講談社の中日日中辞典も収録している。

中中辞書としては社会科学研究院語言研究所編纂の『現代漢語詞典』が収録されている。『現代漢語詞典』は中国で最も広く使われている国語辞書で、中国の国語辞書としては最も権威がある辞書である。

上記総合辞典ではカバーしきれない文法・語法を補うコンテンツとなる機能型の辞書として、東方書店の『中国語文法用例辞典』と講談社の『中国語類義語活用辞典』(上位モデルのみ)が収録されている。前者は中国における中国語教育で広く使用されている『現代漢語八百詞増訂本』を完訳したもので、虚詞(機能語)を中心に、用法を詳しく解説した文法語法参考書である。

英中・中英辞書としては『オックスフォード英中・中英辞典』が収録されている。語数は約9万語句と、中型辞書のサイズとなっている。

2012年版より、新たに中国語検定コンテンツが追加されている。

この他、V903(2008年版)には方言コンテンツが収録されていたが、2009年版以降では不採用となっている。

主要学習機能

最新版の主要学習機能を紹介する。

  • オーディオブック
  • ディクテーション
  • メディアプレーヤー
  • MP3レコーダー
  • 発音比較
  • 単語帳

主要学習機能略説

「オーディオブック」はネイティブの発音に合わせてテキストが表示される機能である。シャドーイングやリピーティングといった学習に利用できる。

「ディクテーション機能」はネイティブの発音を聞き取ってピンインやスペルを入力する機能で、文字通りディクテーションを行う機能である。

「メディアプレーヤー」はパソコン等からSDメモリーカードに保存した音声や動画を電子辞書上で再生する機能。

「MP3レコーダー」はワードタンクに直接自分の声などを録音できるボイスレコーディング機能で、「発音比較」はこの録音した音声とネイティブ音声を比較できる機能である。単語帳は文字通り覚えたい単語を登録して繰り返し学習するための単語学習機能である。

小史

中国語電子辞書では実力No.1の電子辞書ブランド。ここ数年、中国語電子辞書の収録コンテンツや機能が大幅に向上しているが、その先駆を切ってきたのがワードタンクである。

2003年の「V70」では他社に先駆けて「中国語音声」機能と「中国語手書き入力検索」機能を実装。今や中国語電子辞書として欠かせないこの機能だが、特に後者はライバル他社に先んじること4年で投入したことになる。これは後にキヤノンが中国語電子辞書で覇を唱える前兆だったのかもしれない。

2004年の「V80」では中国語電子辞書初となる英中中英辞典『オックスフォード英中/中英辞典 第2版』を収録。これも他社に先んじること5年となる。

2006年の90シリーズ(「V90/G90」)では、日本最大の中国語辞書である愛知大学編纂の『中日大辞典』を収録(G90のみ)、また、中国の国語辞書である中中辞書『現代漢語詞典』も追加された。前者はカシオと同年、中中辞書の収録はカシオに先んじること3年となる。

加えてV90は自分の発音を録音し、ネイティブ発音と比較できる「発音比較機能」を搭載。これは中国語電子辞書が辞書の範疇を超えて、総合中国語学習機となる先鞭となった。

コンテンツや機能面では高い評価を受けた90シリーズだが、バックライトがなく画面が暗い、という初歩的な欠陥を抱えていた。また、ユーザによっては発音学習機能が充実した初学者向けのV90と、音声機能をバッサリと切り取った代わりに大型辞書を収録した上級者向けG90との選択に悩むことになった。

2008年の「V903」は、先代90シリーズでユーザに突きつけられた『中日大辞典』と「音声機能」二者択一の問題が、中国語モデルを再び一本化することで解決され、またバックライトを搭載することで液晶が暗く画面が見にくいという構造的欠陥も解消された。

コンテンツ的には広東語・台湾語・上海語の主要3方言コンテンツが追加され、会話コンテンツも拡充された。また、音声関連機能が大幅に強化され、先代で追加された発音比較機能に加え、ネイティブの発音と同時にテキストが表示される「オーディオブック」機能が追加されるなど、主に機能面で大幅な強化が行われた。

2009年は再び「V923」と「V823」の二本立てに分化した。しかし、2006年の90シリーズのように、初心者モデルとエキスパートモデルという水平型の立て分けではなく、上位モデルと標準モデルという上下型が採用された。

2009年版は、収録コンテンツ的には機能型辞書である『中国語文法用例辞典』『中国語類義語活用辞典』(V923のみ)が追加されたが、機能的にはV903と大差はない。その意味ではマイナーチェンジ版と考えることもできるが、一方で日本語学習者向けに日本語学習面のコンテンツが大幅に強化されている。

2008年のV903は後にV903cという中国語版取扱説明書が充実されたモデルが発売されていることからも、中国人日本語学習者による需要が増えてきているものと思われる。V923の日本語学習コンテンツ強化はこの流れを受けてのものであろう。

そして2012年、ハードを一新したZシリーズが3年越しでリリースされた。本来は2011年に発売される予定だったのだが、ソフトウェアの開発が遅れに遅れ、一年遅れの発売となった。キヤノンはこれまでも発売日時がずれ込む傾向があったが、まる一年、周回遅れは初めてである。歴史に残る延期っぷりであった。

Zシリーズはハードばかりではなく、講談社と小学館の中日日中辞典を同時収録(上位機種)するなど、コンテンツ面でも飛躍的な進歩を遂げている。

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