英語学習者の中国語学習法 4技能編

これまで発音、文法、語彙と英語知識の応用可能性について考えてきた。本項ではいわゆる語学4技能である「リスニング」「スピーキング」「リーディング」「ライティング」についても同様の検証を試みたいと思うが、この4つは技能系のものなので、基本的に英語知識を直接応用することはできない。

ここでは、英語学習者が中国語を学ぶ場合において、如何に英語を絡ませていくのかについて考えてみたいと思う。

リスニング

リスニングについては、語彙の項目で紹介した「ロゼッタストーン方式」を採用することができる。映画やドラマなどの映像コンテンツをリスニングに利用するのだ。

英語学習者には馴染み深いハリウッド映画の中国版を入手すれば、中国語吹き替えバージョンで中国語のリスニングを行うことができる。

欠点といえば、その中国語はあくまで英語を翻訳したものであり、中国語本来の文調ではないところだろうか。逆に中国映画の英語吹き替え版を利用すれば本来の中国語を聞くことができるが、今度は英語が翻訳調になってしまう。ボキャビルという点では大した問題にはならないが、リスニングという観点からは理想的とは言えないのが残念なところである。

スピーキング

スピーキングについても、リスニングのように映像コンテンツを利用した「ロゼッタストーン方式」を応用することができる。リスニングで利用したコンテンツを、スピーキング訓練の教材として再利用するのだ。

こちらもリスニングの場合と同様にどちらかの言語が翻訳調になってしまうという欠点がある。スピーキングではその弊害がリスニングより大きいので、この方法は諸手を挙げて推奨できるものではない。

この他、いわゆる決まり文句を英中並行して覚えたり、口頭で口語短文を英中間で翻訳していくという方法もある。後者はどちらかというと通訳訓練のようになってしまうが、英語をからめようとするとこうなってしまう。

リーディング

リーディングについては、ボキャビルの「ロゼッタストーン方式」をそのまま実践できる。異なる点は、ボキャビルが語彙を覚えることに重点を置くのに対し、リーディングではなるべく多くの文章を読み込んでいくことに重点を置く。

題材として入手しやすいのは小説だろう。英語小説とその中国語版でも良いし、中国語小説の英語版でも良い。馴染み深い日本の名作の英語版と中国語版を読み込んでいっても良いだろう。

日本の小説はその内容を把握している分、外国小説よりも読みやすいだろう。もちろん、外国小説でも、先に日本語版を読んでおけば、原著やその英中翻訳版も読みやすくなる。はじめのうちは先に日本語翻訳版を読むようにすれば、より実践しやすくなるだろう。

日本人にとって中国語のリーディングは比較的容易なので、多少中国語力がついたら日→中→英の順番で読んでいってもいいかもしれない。

ライティング

ライティングについては、まず英語でライティングしたものを中国語に訳していく、という方法がある。これもスピーキングの場合と同様に翻訳訓練のようになる嫌いがあるが、アウトプット系で英語をからめようとすると、こうなってしまうのは避けられないのかもしれない。

逐一翻訳するのではなく、あるテーマに基づき、英語と中国語でそれぞれ小論文を作成してもよい。もっとも、これは英語を活用するというよりも、英中同時並行学習の一形態と考えられるので、本項の主題からは外れてしまう。

まとめ

以上4技能についてそれぞれ考えてみたが、中国語学習において英語を活用したいのならば、やはり「ロゼッタストーン方式」が中心となるようだ。

昨今はインターネットが普及して映画やドラマのスクリプトが入手しやすくなっているので、文法を一通り学んだ時点でお気に入りの洋画の中国語版を試してみると良いだろう。

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