英語学習者の中国語学習法 文法語彙編

前項の発音に続き、本項では文法と語彙について英語知識の応用可能性について考えてみたいと思う。

文法

中国語の基本語順は英語と同様SVOである。この点については英語学習者に有利と言えるが、SVOはあまりにも基本的な項目で、およそ中学で英語を学んだ日本人ならばすぐに飲み込めるものなので、これといって特筆に値するものではない。

その他の項目については、多くの場合英中間の相違は大きく、英語知識の応用性は低い。英語のように時制や活用による動詞の変化もなければ、関係代名詞のように後ろから名詞を修飾するようなこともない。

このため、こと文法については、英語学習者のアドバンテージはほとんどないと言って良いだろう。救いなのは、中国語の文法は元々比較的シンプルで、学習しやすいところだろうか。

語彙

ボキャビルについては英中の語彙を平行して行うという方法を採用することができる。英語の知識を活かす、というよりも、英中のボキャビルを平行して行うことで、それぞれ単独に実行する場合に比べ、いくらか時間を節約するということになる。

このように書くと単語帳を作って日英中と併記するようにイメージされるかもしれないが、筆者は単語帳の作成を推奨していない。単語帳でなくとも、同じ内容の文章の英語版と中国語版を平行して行えば良いのだ。「ロゼッタストーン方式」と言っても良いだろう。同名の外国語教材が存在するので少し紛らわしいが、単にロゼッタストーンの名を借りているかの教材とは異なり、こちらの方法はロゼッタストーンの形態により近くなっている。

この「ロゼッタストーン方式」に利用できる外国語素材は少なくない。小説などの文学コンテンツや映画ドラマなどの映像コンテンツならば山ほどある。日本語コンテンツの英語版と中国語版を利用しても良いし、英語、もしくは中国語コンテンツの中国語・英語訳版でも良い。これらの未加工コンテンツを利用するには、ある程度基礎が完成している方が効率が良いが、この方法はちょうど基礎修了レベル程度からのボキャビルに最適であるので、積極的に採用していきたいものである。

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