量詞

中国語の量詞(日本語の助数詞にほぼ相当)は非常に多くまた複雑である。

量詞は数を計る単位であり,メートルやグラムなどの度量衡もその一部だが,量詞の特徴は形態形状の区別や容器なども単位としているところにある。日本語の助数詞も発達しているので日本人にとっては飲み込みやすい概念だが,魚を“条”で数えるなど,日本語のそれとは形状の捉え方が違うものも少なくなく,的確な運用には中国語的な量詞感覚を養う必要がある。

また,量詞は具体的な物に限らず,意識や心情のような概念的なものに対しても用いることができる。この場合,数詞は“一”“几”に限られる。本来の数を計る単位としての機能は弱まり,被修飾語を形容する働きが強まる。

量詞は事物を数える「名量詞」と,動作の量を計る「動量詞」に大別される。数詞と量詞の組み合わせは「数量詞」と呼ばれる。数詞“一”はしばしば省略される。

名量詞

名量詞は数詞と組み合わせて名詞の前に置き,名詞を修飾する。以下に代表的なものを列挙する。用法は代表的なもののみ取り上げる。ここで取り上げたものでも実際にはさらに多用な用法がある。※中検4級レベル

量詞用法用例和訳
人や物,抽象的な物一人の人
事柄・衣服(特に上着)一つの事
書籍類一冊の本
平面的なもの桌子机一つ
細長いもの一本の川
対のものの片方・動物袜子片方の靴下
対のもの靴一足
柄や取っ手のついている物一本のかさ
棒状のもの一本のタバコ
少量のもの小事ほんのちょっとした事
機械・設備电脑一台のコンピュータ
家庭・企業公司会社一社
かけら面包食パンひと切れ
[用例]
  • 我想买这鞋。
  • wǒ xiǎng mǎi zhè shuāng xié.
  • わたしはこの靴を買いたい。
  • 我昨天买了一书。
  • wǒ zuótiān mǎi le yī běn shū.
  • わたしは昨日本を1冊買った。

動量詞

動量詞は数詞と組み合わせて動詞の後に置き,動量補語を形成する。動作の回数や期間を表す。以下に代表的なものを列挙する。名量詞と同様に用法は代表的なもののみ取り上げる。用法の詳細はそれぞれ辞書を参照。※中検4級レベル

量詞用法用例和訳
回数を表す看一一回見る
回数を表す看一一回見る
往復する動作の回数走一一往復する
始めから終わりまでの全過程を一単位とする说一一通り話す
食事・叱責・忠告・罵倒などの動作の回数吃一一食食べる
回数を表す(簡単にすませる場合)看一ちょっと見る

量詞の重ね型

量詞を重ねて用いることで,例外がないことを表すことができる。

粒粒饱满一粒一粒ふっくらしている
[用例]
  • 条条道路通罗马。
  • tiáotiáo dàolù tōng luómǎ.
  • すべての道はローマに通ず。

数量詞

数詞と量詞をひとまとめにして数量詞と呼ぶ。「“一”+量詞」は英語の不定冠詞(a)に似た働きをする。“一”は省略することもある。

[用例]
  • 有(一)不同意的。
  • yǒu yī ge bùtóng yì de.
  • 同意していない者が一人いる。

不定の数量

“一点”“一些”は不定の数量(わずかな量)を表す。

数量詞用例和訳
一点一点少し食べる
一些一些いくらかよい

動詞・形容詞の修飾

数量詞は動詞・形容詞を修飾することができる。数詞が“一”の時は,「一気に/力を入れて」の意味が加わる。

数量詞動詞/形容詞和訳
一眼看穿ひと目で看破する

数量詞の重ね型

数量詞の数詞が“一”の場合,数量詞を重ねて名詞を修飾することができる。事物が多数であることを具体的に表現するときに用いる。

数量詞数量詞名詞和訳
一双一双何足もの靴

重ねた数量詞は動詞・形容詞を修飾することができ,「次々に/しだいに」の意味を表す。

[用例]
  • 天气一天一天地暖和起来了。
  • tiānqì yītiān yītiān dì nuǎnhuo qǐlái le.
  • 日一日と暖かくなってきた。

度量衡

中国の度量衡(距離・重量・面積等)には,メートル法に基づく公制と,伝統的な市制の2種類が存在している。公式には公制が採用されているが,民間では市制が強く根付いており,現在に至るまで日常生活の中で広く使われている。詳細は度量衡の項目を参照。