中国語レベル学習項目重要度一覧表:ライティング編

ここでは、『中国語レベル学習項目重要度一覧表』における「ライティング」の項目について解説する。表の見方は『中国語レベル学習項目重要度一覧表』を参照。

一覧表(ライティング部分)

  入門 初級 中級 上級
ライティング ▽△△◯◯ ◎◎◎◎◎◎◎☆☆☆ ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

ライティングの特質

ライティングは後回しにされやすい。まずは会話、そしてリスニング、それからリーディングで、最後にライティング。一般的にはこのような感じで順序付けされるようだ。

ライティングが軽視されるのは、同じアウトプット技能の会話と比べて目立たないのと、時間はかかるものの、辞書と参考書の力を借りれば何とかなることによるのではないだろうか。加えて、ライティングは面倒臭いという点も無視できない。母語である日本語でも作文は苦手、という人も少なくないのだ。

一方で、作文を苦手とする人が多いことからもわかるように、本質的にはライティングは会話より難しい。英会話を苦手とする人が多いので、会話は難しいものと思われがちだが、会話ができるようになれば、ライティングの難しさがよく分かるようになる。逆に言えば、会話はそれほど難しいものではないのだ。

文法と会話に効くライティング

このように、何かと敬遠されがちなライティングだが、学習メソッドとして非常に有用なものであることはあまり認知されていない。ライティングは文法力と会話力の向上に大きな力を発揮するのだ。ライティングは文字として残るため、会話に比べより正確な文法が要求され、些細な文法的ミスも一目瞭然となる。文法学習の一環として、広くライティング的要素が取り入れられているのはこのためだ。テキスト等で、レッスンの終わりに文を作成させる練習問題が設定されているものが多いのもこのためである。文を作らせることで、学習した文法項目を復習させるのだ。

また、会話についても、同じアウトプット系として、一定の相関性が認められる。ライティングは文法語法について熟慮して文を組み立てることができるので、より正確な中国語表現を身につけることができる。これは同じアウトプット系の会話にも反映され、会話における表現もより正確なものとなるのだ。

ライティングで身につけた表現は会話においても定着しやすく、会話表現をより豊かなものにすることができる。特にレベルの高い複雑な表現は、ライティングを下敷きにしないとなかなか身につかないものなのだ。このため、より高度な会話力を身につけたいのならば、ライティングを徹底して行う必要がある。上級会話はライティングで磨かれる、と言っても過言ではないのだ。

しり上がりに重要性を増すライティング

ここで、今一度表に戻ってみたい。ライティングの重要性はレベルが上がるにつれて上昇していく。ライティングはいずれのレベルにおいても非常に有用な学習法なのだが、敷居も高いので、初級において本格的に取り入れることは難しいのだ。

初級では、ライティングをしたところで時間がかかる割にはたいしたことは書けないのだから、無理して行う必要はない。それよりも、徹底したインプットを行う方が、学習ストレスもずっと低くなり、より高い学習効果を期待できる。その後、学習の進捗程度に従って、徐々にライティングを取り入れていけば良いだろう。

特に中級中期以降はライティングの重要性が高まる。この時期は会話訓練の真っ盛りにあり、ライティングを会話訓練と呼応させることで、より高い会話訓練効果を期待することができるだろう。

上級においては、ライティングは学習メソッドの支柱となる。より正確でより高度なアウトプット力を磨く方法は、ライティングの他にはないのだ。