漢字しかありませんから、外来語にも漢字を当てます。
日本人の感覚からすると不思議なことかもしれませんが、漢字しかないのですから他に手はないのです。
外来語の処理には音訳、意訳、音訳意訳併用型、意訳音訳融合型の4つの方法が用いられます。
一番簡単で多用されるのが音訳です。日本語ではカタカナでその音に近いものを当てますが、中国語ではカタカナの代わりに漢字を当てるだけです。
例えば、ブッシュ米大統領なら“布什”(bùshí)、プーチン露大統領(今度は首相か)なら“普京”(pǔjīng)です。ちなみにブッシュ米大統領はパパも大統領だったことから、区別するため“小布什”(xiǎobùshí)と言ったりします。日本語では「パパブッシュ」というように父の方に「パパ」をつけて区別しますね。ちなみに中国語でもパパの方には“老”をつけて“老布什”(lǎo bùshí)と言います。厳密に言えば、“布什”は中立語(笑)になるのかもしれませんが、一般には“布什”単独で使う場合は現職の“小布什”を指します。
それはさておき、人名は基本的に100%音訳ですが、一般語彙は意訳されるケースが多くなります。当初は音訳されていたものも、時間を経過すると意訳されるようになる傾向が強くあります。使われていくうちに、中国人にとって理解しやすい意訳が当てられるようになるのでしょう。
例えば、医薬品のペニシリンは、当初は“盘尼西林”(pán ní xī lín)と訳されていましたが、後に“
青黴素”という単語に置き換わっています。マイクロフォンも当初は“
麦克风”と言いましたが、後に“
话筒”という言葉が当てられるようになっています。
一方で音訳のまま定着したものもあります。ソファーなんかいい例ですね。中国語では“
沙发”と言い、完全に定着しています。
また、単なる音訳意訳ではなく、この二つを併用したものもあります。バレエはその一例です。中国語では“
芭蕾舞”と言います。“芭蕾”は音訳で、補助的にダンスの意を持つ“舞”をつけることで、バレエを知らない人でも、それがダンスの一種であることがわかるのです。
意訳音訳融合型はさらに高度な翻訳です。
基因はその代表例でしょう。英語「gene」(遺伝子)の音を残しつつ、それが意味するものを見事に漢字で表しています。英語「gene」を知らなければ、それが音訳にもなっていることに気づく中国人はほとんどいないと思います。
企業名や製品名の翻訳もこの意訳音訳融合型が好んで使われます。この場合は元の音を残しつつ、聞こえの良い意味になる漢字を当てます。よく引用される例ですが、「コカコーラ」“
可口可乐”はその代表例でしょう。