いきなりですが問題です。中国で一番よく目にする日本語は何でしょうか。
答えは……
「の」
です。旅行とかで中国のスーパーを歩いたことがある方はお気づきかもしれません。名前に「の」を含む商品名が目につくんですね。
例えば……有名どころで言えば、食品大手「康師傅」の飲料品「鲜の每日」。
日本人的に言えば「新鮮な毎日/毎日新鮮」てなところだろう、と思うのですが、あくまでマーケティングの対象は中国人ですから。
企業名の中に「の」を使っているところもあります。化粧品会社の「東洋の花」はその代表例ですね。正式名称は“东洋之花”ですが、その商品には大きく「東洋の花」と印刷されています。
ちなみに中国語の“东洋”は日本の別称で、日本語の「東洋」とは別の意味になります。中国から見たら日本は東の海にある国ですから。
そんな訳で、「東洋の花」は「日本の花」の意味。純中国企業なんですけど。
「の」は街中でもたまに見かけます。雑貨衣料品店なんかで店名に「の」を使っているところがあるんですよ。
しかしながら、一番よく目にするのは何といってもネット上です。「の」「の」「の」……「の」が氾濫しています。
試しに、百度で「の」を検索してみてください。
http://www.baidu.com/s?wd=%A4%CE
「の」「の」「の」……検索ヒット数もすごいでしょ。Googleで検索すると、中国語簡体字を選択しても日本語のサイトが上位表示されてしまいますが、百度の場合は中国語簡体字サイトが優先されるので、「の」の氾濫を見て取ってもらえると思います。
なぜここまで「の」が氾濫しているのか。詳しいレポートがあれば読んでみたいのですが。卒論のテーマで困っている方、挑戦してみてはいかがですか(笑)。
そんな訳で、ここでは私が調査ゼロの状態で、脳内ソースに頼っていくつかの推測的意見を提供してみましょう。
中国で氾濫している「の」の使われ方を日本語の語感で読むと不自然に感じるケースが少なくないのですが、“的”や“之”に置き換えて中国語として読むと往々にしてスムーズに通ります。
ここから見て取るに、「の」を使う中国人たちは、日本語の「の」を中国語の“的”や“之”に相当するものだ、と考えているのでしょう。
実際に日本語「の」は文法的に中国語の“的”や“之”と重なる部分が多いのですが、必ずしも一致するとは限りません。中国で目にする「の」を含む表現に日本人が違和感を感じるのはこのためです。
ちなみに言葉とは面白いもので、「の」を含む言葉を見ると、脳は自然と日本語で処理しようとします。そこで違和感を感じ、“的”や“之”に置き換えて読みなおすと、なんとなく通るんですね。
中国企業が自社製品について、品質において信頼性が高く、またブランドイメージの高い日本製品を騙るケースは昔から存在しています。包装や名前を日本チックにしたりすることで、それが日本製であるイメージを消費者に与えるのです。
そこで乱用されているのが「の」。ひらがなを一つ使うだけで日本語っぽくなりますし、文法的にも連体修飾語を表す助詞“的”や“之”に置き換えてやれば済むので、使いやすいのでしょう。
中国社会における日本のマンガ・アニメの影響については、近年日本でもレポートされるようになっていますが、このようなサブカルチャーと共に「の」が普及していった可能性も考えられます。
「の」を多用する世代が日本のサブカルチャーを積極的に吸収してきたネット世代であることを考えると、この仮説は説得力を帯びてきます。
ちなみにその他ネット用語についても、日本語に由来するものは少なくありません。ネット用語の流れは、まず日本から台湾・香港に入り、そこから中国本土に流入する、という流れが顕著になっています。
以上、脳内ソースによる推論です。この件に関していいレポートがあったらご紹介ください。
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