中国語の発音が劇的に「良く」なる2つのコツ

日本人にとって、中国語の鬼門はやはり発音である。会話を覚えてイザ本番、という場でまったく通じず落ち込む者が後を絶たない。

せっかく実践できるレベルまで学習を進めてきているのに、これがきっかけで挫折してしまうのは勿体ない限りである。

そんな訳で、ここでは簡単にできて即効性がある発音改善法を2点紹介したいと思う。

音量を上げる

まず第一に行うべきことは、会話の音量を上げる、要は「大きな声で話す」ことである。狐につままれたような話に聞こえるかもしれないが、これが想像以上に効果的なのだ。

ニュースになっているのでご存知の方も多いとは思うが、昨今の日本旅行ブームのため、中国人観光客が劇的に増えている。この現象を目の当たりにしている、観光ルート内で暮らしている方も少なくないのではないだろうか。中国人観光客による大量購入が日本社会に大きなインパクトをもたらし、「爆買い」という言葉が流行語大賞に選出されたのもまだ記憶に新しい。

中国人観光客絡みのニュースで、爆買いに次いで多いのがマナー問題だが、その中に所構わず大声で話す、というものがある。一般的にはマナーの問題で片付けられてしまうのだが、実は、中国人の話し声は、そもそも大きいのだ。

中国人の大音量については、日本人が中国人が会話しているのを聞いて、喧嘩しているのと勘違いしたという喩え話がよく紹介されるが、これは日本に限った話ではなく、アメリカでも同じように現地のアメリカ人が勘違いして、警察に通報した、という話もある。この話の信憑性は確かではないが、国を問わずこのような話が度々流されることからもわかるように、中国人の大音量は日本人と相対しての話ではなく、絶対的に大きいのだ。

中国人の会話音量がなぜそこまで大きいのか、という点についてはいくつかの俗説があるが、それについては本題から外れるので、ここでは一々取り上げない。その中から一つだけ、音声学的に直接関係するものだけ紹介する。

中国語発音の最たる特徴として「声調」の存在が挙げられる。中国語をかじったことがある者ならば説明の必要はないのだが、中国語は1音節内で音の高低が変化する言語で、発音のリズム感が強いのだ。日本ではあまり聞かない話だが、欧州の中国語教育の現場では、音痴な人は中国語の学習に向かないと言われるそうだ。

また、中国語の声調は4つあるので四声と呼ばれるが、このうち3つは高い音調が絡むもので、音量が上がりやすい。加えて母音が二重三重に続く語も少なくないので、音に力が入りやすいのだ。

いずれにせよ、中国人の会話音量は基本的に大きいのだから、中国語で会話するのならば、標準的な中国人の音量レベルまで引き上げるのが筋というものである。音量が小さいと、たとえ発音に問題がなくとも、聞き取ってもらえない可能性があるのだ。そもそも日本人が中国語のすべての音を正確に発音するのは難しいのだから、加えて音量が小さいとなれば、聞き取りづらいのも無理はないだろう。外国人に標準とは言えない日本語で小声で話しかけられることを想像してみると良い。日本語の標準音量で中国語を話すのは、小声で中国語を話しているようなものなのだ。

ゆっくり話す

もう一つのコツは、「ゆっくり話す」ことである。これは、初心者よりもそれなりに中国語を使えるようになった者が注意すべき点だろう。特に母語である日本語で早口な人は気をつけた方が良い。外国語というものは、習得度が上がれば上がるほど、母語の癖が外国語でも現れてくるものなのだ。

小声で早口というのは、聞き手にとっては非常に聞き取りにくいものである。これは日本語でも同じだ。小声でボソボソと早口で話されては、それが標準的な発音であったとしても、一発で聞き取れるとは限らない。逆に、ゆっくりで、十分な音量があるのならば、発音が多少不正確でも、十分に脳内補正できるものである。

まとめ

最後にまとめ。基本はとにかく「大きな声でゆっくりと」である。これだけで、劇的に通じるようになる。これで通じないのならば、発音のどこかの部分に致命的な問題を抱えている可能性が高い。エラーになっている部分がわからない場合、或いはエラーが多すぎる場合、もう一度発音をやり直すしかないだろう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

    関連する記事は見当たりません…