ビジネスマングループの中国留学術

これまで数項にわたってビジネスマングループの中国キャリア形成について考えてきましたが、本項からは「中国留学を考える」という本題に戻って、ビジネスマングループが中国に留学する場合のタイミングと期間形態について考えてみたいと思います。

中国留学はプラス要素

繰り返しを恐れず申し上げますと、中国系キャリアの形成という観点から言えば中国留学の経験は明らかにプラス要素です。

中国語能力は言うまでもありませんね。中国留学経験者は未経験者と比較して押しなべて高い中国語基礎能力を持っています。中国語能力は直接中国人と交流したり最新の中国情報を収集するのには欠かせない要素です。

この他、学内寮生活という特殊な環境ではありますが、一歩外に出ればそこは素の中国社会。中国の庶民レベルの息遣いを肌で感じることができるのも後々大きな財産となります。

また、学内では多くの中国人学生と交流することができます。かつてのように「大学生=エリート」という時代ではなくなっていますが、この大学生たちが近い未来に中国の支柱となることには変わりありません。そんな彼らが今何を考えているか......。それを直接感じることができるのも留学の利点です。

これら理由から、私は中国系キャリアを志すなら中国留学することをおすすめしています。

時・形態・期間

ではいざ中国へ、となるのですが、ここで問題になるのが「いつ」「どのような形で」「どれだけの期間」中国へ留学するのが効果的か、というものです。

まずは「時」を見てみましょう。ざっくりと分けてしまえばタイミングは4つ。「高卒直行」「大学在学中」「卒業後直留学」「退職後留学」のˋパターンです。

形態はいわゆる「語学留学」「交換留学」「学位留学」「研究留学」の4パターンに分かれますが、主流は「語学留学」だと思われます。

期間はそれこそまちまちです。勉強付き旅行と言った方が正しいような超短期留学から主に学生が長期休暇を利用して行う1~2ヶ月の短期留学、半年(実質4ヶ月ほど)の短期留学、そして一年以上の長期留学まで、状況に応じて自由に選択できます。

「高卒直行」組

このうち「高卒直行」組はちょっと特殊な集団です。この年で「日中間を飛び交うビジネスマンになるんだ」と立志して中国に渡ってくる若人にはいままでのところ出会ったことがありません。

ただ単に「受験に失敗したから」「三流大学に通わせるぐらいならいっそのこと中国の一流大学へ」と親から中国に送られてくるパターンが大半です。

しかしながら、個人的には一浪しても日本の大学に入る方が良いのでは、と思います。もし海外に出るなら英米の大学に留学する方がいいでしょう。語学だけ取ってみても英語の方がつぶしが効くからです。

保護者父兄の方が読まれているかどうかはわかりませんが、ご参考までに。

信念の高校生諸君へ

もしかしたら本当に「日中間を飛び交うビジネスマンになるんだ」という信念を持つ高校生の方がいるのかもしれませんので、最後にそんな志の高い高校生諸君へちょっとしたアドバイスを送って終わりに代えたいと思います。

日中間を翔るビジネスマンを志望するなら、大学は日本の大学に入った方がいいと思います。専攻は中国語や中国文学よりも経済系の方がいいでしょう。

実用レベルの中国語を身に着けるのならわざわざ大学で中国語を専攻する必要はありません。大学は学問的なものを追求する場です。下手をすると中国語が嫌いになってしまうかもしれません。

中国語専攻でももちろん良いのですが、中国語講師を目指す訳でないのならその必要性はありません。個人的には語学はプラスαとした方が良いと考えていますので。

ただし、中国語専攻の方が交換留学制度などが充実しているという現実もあります。これを重視するのなら中国語専攻でも良いとは思います。

専攻や難易度で適切なところがあるのなら中国の大学と単位を相互認定する交換留学制度を準備しているところを選択してください。これはなくてもかまいません。なければ在学中に自費留学すればいいだけです。

日本国内でも大学4年間あればそこそこの中国語力は身につきます。少なくともビジネスレベルはまったく問題ありません。中国で専攻について学びたい場合は卒業後中国に研究留学すればいいでしょう。ただし、この場合は新卒の段階で年齢が多少高くなってしまいますが。

中国の大学より日本の大学に進学することをおすすめする理由は......後で大学生の項でまとめてお話します。