中国語学習「中級」テキスト学習編

中級初期

現実の話「中級」と区切られる範囲においても、「初期」と「後期」では実質的な中国語力に雲泥の差があります。

このため、「中級レベルでは云々」と一言で済ます訳にはいかないものもたくさんあります。

ここでお話しするテキスト学習もその一つです。

このレベルでは一応一通りの基礎文法は学習していますので、辞書を片手に生素材を使用して学習を進めることができるレベルに達していることは確かです。

しかしながら、中級初期段階にある学習者にとって、純生素材の中から要点を見抜き、辞書で解決していくのはかなり骨の折れる作業で、「独学力」が強く、言語的なセンスを持つ学習者でもない限り実践は難しいのが現実のところではないのでしょうか。

このため、中級初期段階では初級に引き続きテキストを使用して学習することをおすすめします。

少ない中級テキスト

問題は中級テキストの種類が限られていることでしょうか。

これがいわゆる「第二外国語」に分類される言語の悲しいところで、もともと多くない教材の大部分が入門・初級レベルに集中していて、中級以降の教材は両手(言語によっては片手)で数えられるぐらいのテキストしか出版されていないのです。

中国語については近年の中国経済の高度成長のためビジネス需要が旺盛で、第二外国語「筆頭」の座を不動にした感があるためか、中級レベルのテキストもちらほらと出版されるようになってきたのは幸いなところですが。

ちなみに中級の名を冠した教材を幾つかピックアップしてみると……

『中級テキスト 完全マスター中国語 跟我学』
『北京駐在日記―中国語ビジネス会話 中国語中級テキスト』
『中国語中級会話テキスト 悠遊北京』

こんな感じでしょうか。

中国語「初級」と「中級」の境界線

今更ながら少し紛らわしくなって申し訳ないのですが、私の言っている「中国語中級」の概念と、出版業界(日本の中国語教育制度?)のそれとでは多少の食い違いがあります。

先に「中国語学習「初級」補足編」で中国語検定3級を以って初級と中級の分岐点とするとしましたが、出版社的な線引きでは中国語検定4級が基準になっているようです。

これは日本の大学で行われている、第二外国語としての中国語教育の線引きをそのまま反映しているためのものと思われます。すなわち、一般大学の第二外国語第一年度を初級相当、第二年度を中級相当と見なしているのです。

もともと中国語「中級」テキストは大学教育における第二外国語としての教材が主な需要先だったので、このような線引きになっているんでしょうね。

一方私の線引きは中国における対外中国語教育の基準にほぼ準じているものです。中国の対外中国語教育を体現しているHSKは5級以って初級の最高レベルとしていますから、中国語検定4級とは雲泥の差があります。

このため、中国語中級の名を冠していたとしても、必ずしも中国語検定3級以降の学習者を対象にしているものとは限らないことにご注意ください。

ちなみにですが、「精読用テキスト」という分類にこだわらなければ、中級レベルの精読学習に利用できるテキストもあります。

例えば、

『通訳メソッドを応用したシャドウイングで学ぶ中国語文法』

がそれです。

このテキストは「中国語文法」と銘打っていますが、その実は「語法」に軸足が置かれているようです。

また、中級はシャドーイングを始めるのにちょうどいいレベルにでもありますので、中級者のテキストとして最適な存在だと思います。

もう一つのテキスト

数的に乏しい中級テキストですが、実は別に切り札もあったりします。

初級までの段階で文法や語彙の基礎は出来上がっているのですから、思い切って中国の対外教育用テキストを使ってしまうのです。

中国の留学生向け中国語教材は日本の教材のように「入門>初級>中級>上級」と尻すぼみすることはありませんので中級以降の教材も豊富です。

しかも、最近の留学生向けテキストは改革開放後20余年の対外中国語教育の経験が反映され、素晴らしい仕上がりになっているものも少なくありません。

教育産業化政策を受け、「外国人の金は稼ぎやすい」と中国の各大学が競って外国人留学生を受け入れてきましたし、かつては北京語言文化大学の独壇場だった留学生向け中国語教材市場も北京大学の猛追を受け、競争が激化しているのもプラスに働いています。

カネの力は偉大ですね……

それはともかく、せっかく優れたテキストが出版されるようになっているのですからこれを使わないのは損というもの。日本でも購入できますので、利用してみてはいかがでしょうか。

なお、「初級は修了したから」と中級レベルの教材に目が行ってしまうかもしれませんが、慌てて中級教材に手を出すのではなく、まず初級教材を試してみることをおすすめします。

中国製の教材ですから、教材は基本的に中国語一色(初級教材は英語付きのものもあり)なので、文法項目の解説などもすべて中国語です。このため、比較的レベルの高い、新出項目ばかりの中級教材は中級初期レベルの学習者にとっては荷が重く、消化不良を起こしてしまいかねません。

そこで、いきなり中級教材を始めるのではなく、初級教材を改めて学習することで中国製テキスト慣れを図る方法をおすすめします。

中級初期レベルの学習者にとって、初級教材の学習項目の多くは既に学習済みなので、中国語で新しい項目を理解する必要はありません。実質的には文法項目などについて中国語で復習するようなものです。

この方法は低ストレスで中国製の中国語テキストへの慣れを促すことができる他、実質的に復習となるため基礎がいっそう固まり、且つリーディング学習にもなるという利点があります。

多少資金が嵩んでしまいますが、余裕のある方には是非おすすめしたい学習法です。

ここではおすすめの留学生向け中国語テキストをご紹介しておきます。

初級教材:

『漢語教程』 北京語言文化大学出版社

現在もっとも多くの大学で使用されている留学生向けの中国語精読テキストです。

『初級漢語口語』 北京大学出版社

会話教材はこれが定番。よくできてますよ。

中級教材:

『中級漢語口語』 北京大学出版社

中級会話教材はこれが定番です。初級版と同じく良くできてます。おすすめです。

『中級漢語聴和説』 北京語言文化大学出版社

日本語注訳付きのリスニング・会話一体型教材。これも良くできてます。

中級中期~後期

中級中期から後期では生素材による学習も十分可能になってきますので、テキストを使用しなくても問題はないと思います。

もちろんテキストが苦にならない人は継続して使用しても問題ありません。生素材と併用していけばいいでしょう。

好みに合わせて選択してください。

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