日本人の会話力が低い理由

唐突ですが、外国人の日本語が妙に上手に聞こえることはありませんか?来日して日も浅いのに、きれいな発音で日本語を操っているのを見て、必死になって中国語を勉強しているのに簡単な会話すら満足にできない自分をなさけなく思ったことはありませんか?

実は、これは何も日本語に限った現象ではありません。以前中国に留学していた時も、中国語で同じような現象を目にしました。同じ留学生でも、西洋系の留学生の方が、日本人より中国語の会話能力が高かったのです。

そこで、彼らがどのように中国語を使っているのか近くで盗み聞きをしてみたのですが、ここである重要な発見をしました。それをヒントに西洋系の留学生と日本人留学生を対比してみたところ、会話能力の差となって表れる原因が浮かび上がってくるではありませんか。

原因その1:発音

中国語の子音は日本語より豊富で、これが日本人の発音習得の障害となっているのですが、英語をはじめヨーロッパ系の多くの言語は子音が豊富なので、これらの言語を母語とする西洋系の留学生の方が発音を身につけやすい傾向があります。

原因その2:語彙熟練度

発音についてはある意味どうにもなりませんが、こちらの原因は日本人が外国語を学ぶ上で重要な示唆を与えてくれます。

西洋系の学生は発音が上手なのではじめは会話も上手に聞こえますが、聴き続けていくと彼らの語彙力が乏しいことに気がつきます。

語彙力が乏しい、というと語弊があるかもしれません。言い換えるなら、簡単な語彙・表現を見事に使いこなしているのです。

だからといって会話に支障をきたしている訳ではありません。意味は十分通っています。意思疎通に必要となるレベルには十分達しているので、その意味では完全に目的を果たしています。

彼らが意識的にそのように話しているのかどうかはわかりません。もしかしたら彼らの祖国ではそのような語学教育が行われているのかもしれません。

しかし、私から見ると、意識的にそのように話しているのではなく、偶然そうなっているように思えます。

理由は彼らはとにかく勉強しないからです。はるばる中国まで勉強しに来ているのだからもう少し勉強しろよ、と思うぐらいでした。

「今日は祭日だ。祭日は勉強する日ではない」とか何とか言ってとにかく勉強しません。一方で彼らは社交的なので、積極的に交流していきます。

あまり勉強しないので語彙力は豊富ではありません。しかし交流好きなので会話はたくさんします。そこで限られた、基本的な語彙を徹底的に使いこなすようになります。

特定の基本的な語彙をたくさん使うので、それらの「熟練度」は自然と高くなります。基本的な日常会話はこれらの語彙で十分対応できるので、ものすごく上手に話しているように聞こえます。

一方、日本人学生はまじめに勉強するので語彙はたくさん知っています。そして会話の際、せっかく覚えたのだから、と覚えたての語彙を使おうとします。

もちろんこれ自体はいいことなのですが、勤勉なのでその語彙を完全にマスターする前に新しい語彙をどんどん覚えていきます。そして会話の際また新たに覚えた語彙を使おうとしますので、結果的に会話がたどたどしくなってしまうのです。

語彙の「熟練度」

ここでポイントとなるのが語彙の「熟練度」です。よく単語について「知っている」「知らない」で形容しますが、厳密にはこの「知っている」「知らない」で形容される語彙力は「受動的語彙力」のことを表しています。

一方、会話で要求される語彙力は「使える」「使えない」で形容される「能動的語彙力」です。

上述の例に当てはめるなら、日本人は語彙力が高いように見えて、実は「受動的語彙力」が占める割合が多く、一方で西洋人は語彙力は乏しいように見えますが、その語彙力の中に占める「能動的語彙力」の割合が高いので、西洋人の方が会話力が高くなるのです。

これは私たちの中国語学習においてもそのまま当てはまります。というよりも、日常会話レベルの会話に限って言えば、決定的な要素となる可能性を秘めています。

日常の中で必要になるレベルというのは実はそれほど高くないので、語彙「熟練度」の引き上げこそが中国語会話短期習得の要点だと言っても過言ではないと思います。

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