言語的親近性

一般に、中国語は英語より難しいと考えられているようです。英語は義務教育の中でも学ぶので、程度の差こそあれ誰でもある程度はわかるから英語の方が簡単なように感じられるのかもしれません。

英語と中国語ができると言うと、よく英語と中国語のどちらが難しいか聞かれます。

正直なところ、答えに窮します。正確に答えようとすると、一言二言では済まないからです。

先に言っておきますと、言語には優劣はありません。また、難しいからといって優れているとも限りません。

その上でお話を進めますが、外国語の難易度は、自分の母語との「距離」によって決まります。

「語族」と言語習得の関係

外国語の習得について考える上で無視できないものに「語族」というものがあります。

これは、それぞれの民族の言葉の共通性から分類したものですが、日本語は一応はアルタイ語族に属する(※注)と考えられており、英語とはかけ離れた所に位置する言語と分類されています。

英語を勉強してみるとわかりますが、英語の文法構造は日本語とほとんど正反対になっています。日本人にとって、英語はもともと習得しにくい言語なのです。

一方、ゲルマン語系(ドイツ語・オランダ語・デンマーク語)やロマンス語系(フランス語・イタリア語・スペイン語など)の言語は、日本語より遥かに英語との共通点が多い言語であるとされています。

見ての通りヨーロッパに集中していますが、ヨーロッパ系の人が総じて日本人より英語が上手なのは言語学親近性によるところも大きいと考えられています。

これを裏付ける研究調査として、学ぼうとしている外国語と学習者の母語との言語学的距離が外国語習得にどのような影響を及ぼすのかということを証明した調査があります。

アメリカ国務省の付属機関が行ったもので、アメリカ人国務省研修生が日常会話に不自由しないスピーキング能力を習得するのにかかった時間を比較したものです。

調査では、フランス語・ドイツ語・スペイン語等のゲルマン語及びロマンス語系の場合約720時間で習得できたのに対し、日本語・中国語・朝鮮語・アラビア語では約2400時間から2760時間の特訓が必要だったとされています。

この調査はアメリカ人に対するものですが、日本人の英語習得についても類推して考えることができると思います。要するに、日本人にとって英語はたいへん習得しにくい言語なのです。

では中国語と日本語の言語関係はどうなのかというと、残念ながら語族を別にする、親近性の薄い言語関係となります。中国語はシナ=チベット語族に分類される言語だからです。

脚注

※注: アルタイ諸語を共通の祖語をもつアルタイ語族であるとする説は古くからあるが、3グループは数詞などの基礎語彙が全く違うため、少なくとも伝統的な比較言語学の手法によってアルタイ祖語を復元し、アルタイ語族の存在を証明することは困難であり、そもそもアルタイ語族というものは存在しないと考える言語学者も多い。母音調和以外の特徴を共通にする朝鮮語および日本語をアルタイ語族(アルタイ諸語)に加える見解もあるが、近縁関係は証明されていない。
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 ) もどる

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