完了と実現「了」

動態(アスペクト)助詞“了”は動作の完了・実現を表すことができる。

基本形

動詞の直後に動態助詞“了”を置く。

我看一本书。本を一冊買った。

一般に日本語訳には「~した」という表現が当てられるが,過去形ではない。現在完了として使うこともできる他,従属節に用いるという制限はあるが,未来完了も表現することができる。

我昨天吃咖喱饭。わたしは昨日カレーライスを食べた。※過去完了
我都等他一个小时わたしは彼を待ってもう一時間になる。※現在完了
我买汉堡包再过去。わたしはハンバーガーを買ってから行く。※未来完了

否定形

否定形を作る場合は動詞の前に否定副詞“没(有)”を置き,“了”は外す。否定文ではその動詞が実現していないので,“了”は必要ない,と考えればよい。

你吃午饭吗?
还没(有)吃。
昼ごはんを食べましたか。
食べました。/まだです。

疑問形

疑問形には次の二通りがある。

「吗」疑問文

「吗」疑問文を使う。

早上你看新闻吗?あなたは今日ニュースを見ましたか。

没(有)

反復疑問文と同等の形を取る。「動詞+“没”+動詞」の形では“了”は消えるところに注意。

早上你看新闻没(有)?あなたは今日ニュースを見ましたか。
早上你看没看新闻?同上

文終止に関する規則

「動詞+“了”」が目的語を伴う場合,その目的語に修飾語が存在せず,且つある特定の物・出来事と限定できないときは,そこで文を終了することができない。

×我看书。※“书”には修飾語がなく,また特定の本と限定できないため,文を終了できない。

この場合,次のような処理を加えることで文を終了させることができる。

語気助詞“了”

語気助詞“了”を文末におく。

主語動詞完了“了”目的語語気助詞“了”
了。わたしは本を読んだ。

数量句

数量詞などの連体修飾語を目的語の前に置く場合。※中検4/3級レベル

主語動詞完了“了”数量詞目的語
一本书。わたしは一冊の本を読んだ。
[用例]
  • 我买一本词典。
  • wǒ zuótiān mǎi le yī běn cídiǎn.
  • わたしは辞典を1冊買った。

動詞と目的語の結びつき

動詞と目的語が離合詞を形成するような結びつきの固いもので,且つ動詞が連用修飾語で修飾されている場合。

主語連用修飾語離合詞
我们感慨万分地握了手。私たちは感慨無量で握手した。

唯一のもの

目的語が固有名詞など,唯一のものと特定できるものの場合。

主語動詞完了“了”目的語
看见小李。わたしは李さんに会った。

動態(アスペクト)助詞“了”と語気助詞“了”の相違点

※中検4/3/2級レベル

動態(アスペクト)助詞の“了”が表す「動作の完了・実現」の意味は一種の新しい状況が発生したと考えることもできるため,語気助詞“了”の持つ意味の一つである「状況の変化・事態の発生」と意味が重なり,時として非常に紛らわしい。

そこで,以下に両者の相違点について表としてまとめてみる。※「記号」の「了1」と「了2」は両者を区別するため記号化したもの。

意味位置記号
動態助詞“了”動作の完了・実現動詞(句)の直後了1
語気助詞“了”状況の変化・事態の発生文末了2

両者の明確な相違点はそれが置かれる「位置」にある。

既知と未知

意味的な点から見ると両者は非常に似通っているが,動態(アスペクト)助詞の“了”は既知のものを,語気助詞の“了”は未知のものを表すというところに相違点が見られる。下記に例を示す。

你吃什么何を食べたの。
我吃包子中華まんを食べた。
你吃几个包子?いくつ食べたの。
我吃六个包子。6個食べた。

会話や話題の冒頭で,未知のものについて言う場合は語気助詞“了”が使われる。上記の例では上二行は未知のものについて述べているので,語気助詞“了”が使われている。

一方,下二行ではすでに「中華まんを食べた」ことは既知の事実となり,話題が「何個食べたか」という具体的なものに進んでいるので,動態助詞の“了”が用いられている。

現在との関連

動態助詞“了”は単なる完了を表すが,語気助詞“了”は現在という時点と関連を持つ。

我在北京住两年。わたしは北京で二年間住んでいた。(現在は北京に住んでいない)
我在北京住两年わたしは北京に住んで二年になる。(現在北京に住んでいる)

疑問形

語気助詞の“了”では,反復疑問文の場合“~了没有?”という表現を用いる。

你今天吃早饭没有?あなたは今日朝食を取りましたか。
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Time:
2008-06-26 Last modified: 2016-12-20