長期留学のための短期留学

前項「中国留学予定の大学生のための中国語学習プラン」で一年の長期留学を前提として考えるならば、中国語を始めてから2年後ぐらいがちょうどよいとしました。

もちろん各人の状況に応じてタイミングに幅が出てくることは言うまでもないのですが、ここではとりあえず平均的なケースとして話を進めていきたいと思います。

大学三回生終了時点までが勝負

実のところ、中国留学までの準備期間を2年間としたのは、「留学先での学習効果を最大限のものとするのに必要なレベルに達するためにこれだけの時間がかかる」、というよりも、「2年以内にこのレベルに達しないと中国留学の最良のタイミングを失う」という意味合いの方が強いのです。

大学在学期間は一般に4年間ですが、仮に大学二回生から中国語を始めたとすると、2年後には大学四回生になってしまいます。

日本で就職活動をする、ということを前提に考えると、大学四回生の期間は(就職が決まらない限りにおいては)日本にいなければならない訳ですから、留学するなら大学三回生終了時点までの間に一応のレベルの中国語を物にしておく必要があります。

もし大学入学直後から中国ビジネスキャリアの道を考えているということなら猶予期間は3年間、大学二回生終了時点で目覚めたということなら猶予期間は1年間という訳です。

長期留学のための短期留学

話を戻します。ここでは平均を取って留学まで2年間の猶予期間があるとして、まずは大雑把に枠組みについて考えていきましょう。

ざっと流れを見れば「入門」⇒「初級」⇒「中級」⇒「中国留学」となるのですが、1年の長期留学の成功確率を高めたい場合は、長期留学の前に一度短期留学を行うことをおすすめします。

短期留学はその実は勉強付き長期旅行みたいなものなので、学習効果についてはたいしたものは期待できないのですが、視点を変えて見るとこれがなかなか無視できない存在なのです。

短期留学の利点は長期留学の「下見」が手軽にできるところにあります。中国現地の状況、中国の大学の学習環境、その地域の特性など、「百聞は一見に如かず」、ではありませんが、本から得た情報や又聞きの情報ではなかなか得られないものを得ることができます。さらに現地で人のつながりを作っておくことができれば尚のこと良しでしょう。

また、テキストで学ぶ中国語と実際に使われている中国語の違いを身をもって知ることができるのも重要です。帰国後の中国語学習に向けて大きな指針を得ることができると思います。

この他発音に自信がない場合は徹底的に発音の矯正をすることができます。日本ではマンツーマンで矯正をお願いするとかなり高額になってしまいますが、現地で直接お願いすれば格安レッスンを思う存分受けることができます。

事前短期留学のタイミング

長期留学のための事前短期留学のタイミングは「初級終了レベル」が理想でしょう。このレベルに達すると最低限の基礎はできてますので、生の中国語はたいして聞き取れないかもしれませんが、少なくともこちらからの会話は理解してもらえると思います。一応最低限の会話交流が可能なレベルに達するのがこのレベルです。

このレベルなら発音の矯正も比較的容易です。これが中級終了レベルになると発音が固まってきてしまうので発音の矯正が難しくなります。中国語における発音の重要性を考えるならば、やはりこの段階で一度徹底的に発音を見直しておく方がよいでしょう。

そんな訳で欲を言えば「入門」⇒「初級」⇒「短期留学」⇒「中級」⇒「長期留学」という形が理想です。長期留学までの準備期間を2年として考える場合、中国語開始後1年前後で一度短期留学を行うのが理想的でしょう。

大学生の場合は年2回長期休暇がありますから、タイミングを計るのは容易だと思います。あとは資金の問題のみです。

もちろん、資金的に短期留学が不可能だからといって諦めることはありません。正しい学習法で着実に学んでおけば短期留学なしでもまったく問題はありませんから。