中国語レベル学習項目重要度一覧表:文法編

ここでは、『中国語レベル学習項目重要度一覧表』における「文法」の項目について解説する。表の見方は『中国語レベル学習項目重要度一覧表』を参照。

一覧表(文法部分)

  入門 初級 中級 上級
文法 ☆☆☆☆☆ ◎◎◎◯◯◯△△△△ △△▽▽▽▽▽▽▽▽

文法の特質

文法は、成年後の学習者にとって最大の武器となる。文法偏重で「文法アレルギー患者」を大量生産した学校英語教育と、そのアンチテーゼとしての文法無視系英語学習メソッドの影響もあって、非主流派とはいえ中国語においても文法を否定する反文法論者が存在するようだが、論理的な理解力に富む成人にとって、言語を論理的に分析してくれる文法は、学習効果を無限大に高めるスグレモノなのだ。

入門レベルにおいては、学習対象となる文法項目が非常に簡単なものであるのに加え、日本人にとっての中国語学習の特殊性から発音の重要性が群を抜いているため、表においては文法学習の重要性は低評価となっているが、初級から中級にかけては群を抜く存在となる。

初級文法と中級文法の相違点

一口に文法といっても、初級で学ぶものと中級以降で学ぶものには質的な相違が存在する。初級レベルで重要視されるのは、一般的に認識されるところのいわゆる文法となるが、中級以降においては、頻出度が低い虚詞(機能語、副詞・介詞・接続詞・助詞など)や個別の語彙に特異に見られる例外的な用法に重点が移る。

このように、レベルに応じて学習対象となる文法に質的な変化が発生するため、中級以降については、学習者の習得目的に応じて、文法の重要性もまた変化する。

習得目的が会話重視の場合は、中級以降の文法の重要性は表に比べずっと低くなる。これは、会話において多用される文法項目が、入門初級で習得するものに集中しているからだ。また、会話においては多少文法的に瑕疵が存在しても、それほど大きな問題にはならない。会話では息の切れ目を入れることで語順の制限が大きく緩和されるのに加え、文章が音と共に消えていくため、文法的な瑕疵はあまり気にならない。

一方でライティングを重視する場合はより正確な文法が要求される。ライティングは文字として残るので、会話に比べ文法的な瑕疵が目につきやすいのだ。ライティングが文法学習に大きな効果を発揮するのはこのためでもある。書かせてみれば、文法の習得程度が一目瞭然となるのだ。

また、ライティングにおいては、一般的な会話表現とは異なる表現が必要になることもある。同じ意味であっても、口語でしか使わない表現もあれば、書面上でしか使わない表現もある。格調が求められる文章では、往々にしてこのような書面用の文法表現が必要になるのだ。

このため、ライティングが重要になる場合は、中上級レベルにおける文法の重要性が相対的に高まることになる。もっとも、文法は語彙のようにエンドレスではないので、重要性が高まると言っても限りがあることを付け加えておく。